食品ECのアレルギー表示は、正直かなり怖いです。
なぜなら自社で商品を作っていなくても、仕入れ先や原材料メーカー側の表示ミスに巻き込まれ、回収・返金対応などに巻き込まれる事があるからです。
実際に2026年3月には、大手テレビ局のお取り寄せECサイトで、チャウダー商品の卵アレルゲン表示漏れにより自主回収と返金対応が発生しました。原因はEC事業者側のミスではなく、原材料として仕入れていたベーコンの製造業者が卵の表示を欠落させていたこと。つまり「うちはメーカーからもらった情報をそのまま載せているだけだから大丈夫」という考え方が、一番危ないパターンです。
この記事では、2026年時点の表示義務の中身、実際に起きた回収事例、そして商品登録前に見るべきチェックリストを、「EC現場でどう運用するか」の視点でまとめます。
先取り結論:
- 食品表示基準では特定原材料9品目のアレルギー表示が義務化
- EC事業者は商品ページでの適切な表示と仕入れ先との連携が必須
- 定期的な表示内容見直しで法的リスクを回避可能
食品ECのアレルギー表示漏れが怖い理由

怖さの正体は、「自社に過失がなくても巻き込まれてしまう」ことです。
パッケージへの表示は製造者の義務ですが、EC事業者はそれを商品ページに転記・要約する立場でしかありません。原材料メーカー側で仕様変更があっても、その情報が販売側にきちんと届く仕組みがなければ、商品ページの表示だけが古いまま取り残されてしまいます。
しかもECでは、消費者は実物のパッケージを手に取れません。商品ページの記載が、購入前に確認できる唯一の情報です。だからこそ、実店舗以上にシビアな管理が必要になります。
法律上の整理はシンプルです。容器包装へのアレルギー表示は食品表示法上の義務。一方、ECの商品ページ上の表示は、この法令の直接の対象ではありません。ただし、購入前に実物を確認できないECでは、実務上ほぼ必須の情報提供と考えるべきです。「対象外だから書かなくていい」ではなく、「対象外だからこそ自主的に整備しておく」というスタンスが正しいと思っています。
2026年時点の特定原材料9品目・推奨20品目
義務表示と推奨表示の区分は、頻繁に法改正が入るところです。数年前に作った商品ページほど、情報が古いまま止まっているケースをよく見ます。
| 区分 | 品目 |
|---|---|
| 特定原材料(義務表示・8品目) | 卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに、くるみ |
| 2026年4月に義務表示へ追加(9品目目) | カシューナッツ(2028年3月末まで経過措置あり) |
| 特定原材料に準ずるもの(推奨表示・20品目) | アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、マカダミアナッツ、ピスタチオ |
2025年4月に、くるみが推奨表示から義務表示へ完全移行したばかりです。「くるみはまだ推奨表示のはず」と思っている店舗様は要注意です。
ECの商品ページではどこまで表示すべきか

商品ページの表示は法令の直接対象ではありませんが、実務上は書いておくべきです。
原材料名欄、独立した「アレルギー情報」項目、商品画像内(パッケージ写真など)。この3か所のうち、できれば複数箇所に併記してください。
見落とされがちなのがモール側の仕様です。楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングは、商品属性欄やスペック欄の作り方がそれぞれ違うため、「本文には書いたけど属性欄が空欄」というケースがよく起こります。セット商品やギフト商品、福袋のように複数の原材料が混在する商品は、特に表示漏れの温床になりやすいので注意してください。
商品ページでの適切な表示方法
EC販売では、消費者が購入前にパッケージ表示を直接確認できないため、商品ページにもアレルギー情報を分かりやすく掲載することが重要です。法令上の表示義務だけでなく、購入前の情報提供という観点からも、原材料名・特定原材料・注意喚起を商品ページに明記しておくことが望まれます。
- 原材料名欄での個別表示または一括表示
- 「アレルギー情報」として独立した項目での記載
- 商品画像内での表示(パッケージ写真等)
- 注意喚起文の併記
表示漏れによる法的リスク
表示義務違反は以下のリスクを伴います。
- 食品表示法違反による行政処分
- 消費者からの損害賠償請求
- 事業者としての社会的信用失墜
- プラットフォームからのアカウント停止
実際に起きた回収事例
2026年3月、大手テレビ局が運営するお取り寄せECサイトで発生した事例です。
販売していた惣菜(チャウダー)のアレルギー表示に「卵」の記載がありませんでした。原因は、原材料として仕入れていたベーコンの製造業者側で、卵の表示が欠落していたこと。EC事業者自身が何かを間違えたわけではありません。それでも結果として、商品の自主回収と返金という対応になっています。
このケースが示しているのは、「自社では何も間違えていない」ことと、「回収・返金対応が発生しない」ことはイコールではない、ということです。仕入れ先が正しい情報をくれる前提で運用していると、いつか足元をすくわれます。
出典元:商品回収に関するお詫びとお知らせ|テレビショッピング・通販のロッピング【テレビ朝日グループ】
商品登録前に確認すべきチェックリスト

表示義務の理屈より、まずは実際に手を動かすときに使えるかどうかが大事です。新しい商品をモールに登録・掲載する際は、公開前に以下を確認してください。
- 特定原材料9品目・推奨20品目の含有有無を、原材料明細書ベースで確認したか
- 製造ラインでの交差汚染リスクについて、仕入れ先から情報をもらっているか
- 商品ページ本文・商品画像・モールの属性/スペック欄、3か所すべての表示内容が一致しているか
- セット商品・ギフト商品・福袋など、構成要素すべての原材料を反映できているか
- 過去に作った商品画像やLPに、リニューアル前の古い表示が残っていないか
仕入れ先・メーカーとの情報更新ルール
チェックリストは一度回して終わりではなく、継続的な仕組みにしておく必要があります。最低限、次の3つは仕入れ先とのルールとして決めておいてください。
- 製造ライン変更・原材料変更(リニューアル等)があった場合、事前に通知してもらう
- 原材料明細書を、少なくとも半期に一度は更新依頼する
- 緊急時(表示ミスが発覚した場合など)の連絡窓口と対応フローを、事前に決めておく
これができていないと、メーカー側は「言ったつもり」でも、販売側には届いていない、という事故が起きます。ロッピングの事例も、構造としては近いものだったはずです。
定期的な表示内容の見直し方法
出来れば継続的な管理のため、以下のサイクルで見直しをしていきましょう。
- 月次:新規登録商品の表示確認
- 四半期:既存商品の表示内容点検
- 半期:仕入れ先からの情報更新確認
- 年次:法規制変更への対応状況確認
まとめ:食品ECは「表示して終わり」ではなく「更新管理」が重要
- 容器包装への表示は法令上の義務。ECの商品ページ表示自体は直接の対象ではないが、実務上はほぼ必須
- 2026年4月にカシューナッツが義務表示(9品目目)に追加、2025年4月にくるみが完全義務化。改正のたびに古いページが取り残されやすい
- 原材料や仕様変更の情報が正しく伝わっていないだけでも発生しうる
- 商品ページ本文・画像・モール属性欄、3か所の整合性チェックと、仕入れ先との定期的な情報更新ルールが実務上の要
- 「表示して終わり」ではなく「継続的に更新管理できる体制」があるかどうかが、事故を防げるかの分かれ目
GOATでは、食品ECの商品ページ・商品画像・モール登録情報を確認し、アレルギー表示や原材料情報の抜け漏れが起きやすい箇所を整理します。
特に、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング・自社ECを複数運営している場合、古い商品画像やスペック欄に変更前の表示が残っているケースが多いため、一度棚卸しすることをおすすめします。
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