「実店舗では売れているから、楽天市場に出店して販売をしてみたい」
食品メーカーや飲食店、菓子店の方から、こうした相談をいただくことがあります。
楽天市場に食品を出品すること自体はできます。
ただし、「出店できる」と「売れる」はまったく別の話です。
実際の支援では、出店方法を説明する前に「そもそも楽天に出すべき商品なのか」から確認します。
この記事では、食品事業者が楽天市場への参入を検討してから、実際に販売・運用を始めるまでを7つのステップで解説します。
先取り結論:
- 「とりあえず出店」はNG
- 申請より先に「市場調査と商品設計」を
- 商品ごとに役割を分ける
- 長期目線で予算を組む
STEP1.まず「楽天に出店すべきか」を判断する

最初にやることは出店申請ではありません。
まず、
- 楽天市場に同ジャンルの需要があるか
- 競合商品が実際に売れているか
- 自社商品の価格や内容量で戦えるか
- EC向けの商品変更が可能か
- 製造・発送リソースがあるか
を確認します。
ここを飛ばして「とりあえず楽天に出してみる」のはおすすめしません。
実際の支援では、Nintなどの分析ツールも使いながら、競合店舗や商品の売れ方を確認します。
例えば同じ焼き食品でも、
「単品が売れているのか」
「送料無料セットが強いのか」
「自家需要よりギフト需要が大きいのか」
によって、作るべき商品は変わります。競合を見る目的は真似をすることではありません。
「この市場で自社が勝つなら、どういう商品にすべきか」を考えるためです。
出店をおすすめしないケースもあります
EC支援会社としては、出店してもらった方が仕事になります。
ただ、売れるイメージが持てない状態で契約しても、お互いに良い結果にはなりません。
過去には精肉領域の事業者から、ECモールへの新規参入について相談を受けたことがあります。
市場を調べると競合は存在していましたが、ブランド上の制約から価格や商品構成を十分に変更できず、「この条件のままでは目標売上を作る根拠がない」と判断しました。
その案件では、出店を進めるのではなく、参入自体を見送るようお伝えしています。
反対に、現時点ではECで売れていなくても、
- 商品自体の評価が高い
- 商品開発の余地がある
- EC向けに見せ方を変えられる
- 担当者に改善する意思がある
のであれば、伸ばせるケースがあります。
今の売上だけで参入可否を判断するのではなく、商品と会社の両方を見ることが重要です。
ECモールでは「ECモールで売れる商品設計」にしないと出店しても売れないケースがほとんどです。この辺りが難しい場合は出店しても売れづらい傾向にあります。詳しくはSTEP3.を見てみましょう。
STEP2.食品販売に必要な許可・表示を確認する

楽天への申請と並行して、食品販売に必要な条件も確認します。
取り扱う商品や営業形態によって、
- 営業許可
- 営業届出
- HACCPに沿った衛生管理
- 食品表示
などの対応が必要になります。
特に注意したいのが、
- 自社で製造する
- 仕入れた商品をそのまま販売する
- 小分けする
- 加工する
といった違いです。
必要な許可等は商品や製造方法によって変わるため、判断が難しい場合は管轄の保健所へ確認してください。
商品ページや商品本体の表示についても、名称、原材料、内容量、賞味期限・消費期限、保存方法など、必要な情報を整理しておきます。
ここはEC施策以前の問題なので、販売開始前に必ず確認します。
STEP3.楽天で売るための商品設計をする

次に商品を作ります。
ここでいう「商品を作る」とは、新商品をゼロから開発するという意味ではありません。
既存商品を、
「楽天市場で買われる形に組み直す」
という意味です。
実店舗の商品を、そのまま楽天に登録して終わるケースがありますが、これはかなりもったいないです。
実店舗と楽天市場では競争環境が違います。
例えば、
- 単品をセット化する
- 内容量を変更する
- 送料無料に合わせてアソートを組む
- 自家需要商品をギフトとして再設計する
- 初回購入向けのお試し商品を作る
といった変更を検討します。
商品にはそれぞれ役割を持たせる
食品ECでは、すべての商品で同じ利益を取る必要はありません。
例えば、
入口商品
→初めて店舗を知った人に買ってもらう商品。
本命商品
→店舗の利益を作る中心商品。
ギフト商品
→母の日、父の日、お中元、お歳暮などで利益を作る商品。
という形です。
過去に支援した岡山県の洋菓子店では、1,000円のお試し商品を入口として設計しました。
この商品単体では赤字になる価格設計でしたが、目的は商品単体の利益ではなく、新規顧客とレビューを獲得することです。
当然ですが、「赤字商品を作れば売れる」という話ではありません。
入口商品の赤字を、本命商品・ギフト・リピートまで含めて回収できる構造があることが前提です。
EC向けに商品を設計したからうまく売れるわけではなく、例えば入口商品であれば、そこからお店のことを知ってもらって、さらにリピートや回遊につなげるといったように、ただ商品をそれぞれの役割の為に作るだけじゃなく目的やゴールの設定も重要になっていきます。
STEP4.楽天市場へ出店申請する

商品と事業計画を整理したら、楽天市場への出店申請を進めます。
楽天市場では出店審査があり、申込後すぐに販売開始できるわけではありません。
また、出店後には、
- 月額出店料
- システム利用料
- 決済関連費用
- ポイント原資
- 広告費
- 制作費
なども発生します。
ここで大事なのは、楽天の出店料だけを見て予算を決めないことです。
EC運営では、一般的に、
- (店舗によっては)ECコンサル・運営代行
- LP・商品ページ制作
- 撮影
- 広告
- 商品開発
- 包装・同梱物
- 受注・発送
などにも費用がかかります。
ECコンサルや運営代行についても、固定報酬型や成果報酬型など、費用も支援範囲や報酬体系によって相場は大きく変わります。
そのため、
「楽天に出店する費用」ではなく「楽天事業を運営する費用」
として予算を考えた方が現実的です。
STEP5.店舗・商品ページを作る

商品設計が決まったら、ようやく店舗や商品ページを作ります。
食品ECの場合、
「美味しい」「職人が作っている」「素材にこだわっている」
だけでは、情報として足りません。
購入者が実際に気にするのは、
- 何個入っているか
- どのくらいの大きさか
- どんな箱で届くか
- 包装されているか
- 熨斗に対応しているか
- 冷蔵・冷凍・常温のどれか
- いつ届くか
といった部分です。
食品ECを支援していると、低評価レビューの原因が「味」ではなく、購入前の期待と届いた商品のギャップだったケースも珍しくありません。
商品を良く見せることと、期待値を上げすぎることは別です。
特にギフト商品では、実際の包装状態や外箱まで商品ページで見せておいた方が良いでしょう。
このほかによくあるパターンだと変に商品画像・ページを良く見せようと誇張しずぎたばかりに実際の商品とのギャップにがっかりしてしまい低評価を入れられてしまうパターンがあります。
もちろんありのままをだしてもうまくはいきません。ありのままを撮影してもらいプロに加工などを任せて誇張ではなく強調程度にとどめておくのがベストです。
STEP6.販売開始後は、まず反応とレビューを見る

店舗がオープンしたからといって、すぐに広告費を大量投入する必要はありません。
まず確認したいのは、
「この商品とページで本当に商品が買われるのか」
です。
初期段階では、
- アクセス
- CVR
- 注文件数
- レビュー
- 商品別の売れ方
などを確認します。
レビューも非常に重要です。
例えば、
「味は美味しいけど包装が簡素だった」
という声が多いのであれば、商品そのものではなく、ページ上の説明に問題がある可能性があります。
逆に「この価格でこの量なら満足」という声が多ければ、その部分を次の訴求に使えます。
レビューは評価ではなく、次の商品改善に使うデータです。
包装が簡素という声が多ければパッケージを改良し、画像で訴求する。
レビューでの評価は耳が痛いモノがあるかもしれませんが、ブラッシュアップできる生のデータです。必ずチェックはしていきたいところです。
STEP7.売れる商品が見えたら広告・CRMを強化する

商品とページの反応が確認できたら、RPPなどの広告を本格的に活用します。
ここでも、店舗全体へ均等に広告をかける必要はありません。
商品ごとの転換率やROAS(費用対効果)を確認し、
- 売れている商品には予算を寄せる
- 売れない商品の広告は止める
- 広告をかける前にページを直す
といった判断をします。同時に重要になるのがリピートです。
例えば、
入口商品
↓
レビュー獲得
↓
メルマガ・LINE
↓
本命商品
↓
ギフト購入
という流れを作ります。
食品はリピートと相性の良い商材です。
新規顧客を毎回広告だけで取り続けるのではなく、一度購入してくれた人を次の購入につなげる仕組みを作ることで、店舗が安定していきます。
楽天食品ECはどのくらいで売れる?

ここはよく聞かれますが、商品と商品の設計がどうなのか?によります。
かなり早く成果が出た事例として、岡山県の洋菓子店では、楽天市場の月商が約5万円から約2ヶ月で150万円まで伸びました。
商品自体はもともと良いものでした。
一方で、
- 入口商品の設計
- 商品構成
- EC上での見せ方
- ギフト対応
- レビュー獲得
- イベント施策
などに改善余地がありました。
そこを集中的に修正した結果です。
ただし、これは成功事例です。
「2ヶ月あれば楽天で売れる」という意味ではありません。
むしろ新規EC事業については、2年程度の時間軸で考えた方がいいとお伝えすることが多いです。
商品を作り、レビューを集め、リピーターを増やし、季節需要を取り、売れる商品を増やすには時間がかかります。
ECモールでの運営は魔法のようなテクニックはないと言っても過言ではありません。日々のデータを確認しながら改善と積み重ねでしっかりと売上を作っていきます。
まとめ|楽天への食品出店は「申請」から始めない

食品を楽天市場で販売するときの流れをまとめると、
STEP1:楽天に出店すべきか判断する
↓
STEP2:食品販売に必要な許可・表示を確認する
↓
STEP3:楽天向けの商品設計をする
↓
STEP4:出店申請をする
↓
STEP5:店舗・商品ページを作る
↓
STEP6:販売して反応・レビューを確認する
↓
STEP7:広告・CRMで伸ばす
という順番です。
楽天への出店を検討すると、どうしても「申請方法」や「店舗制作」から考えがちです。
しかし、最初に確認すべきなのは、
「この商品は楽天市場で本当に戦えるのか」
です。
GOATでも、出店ありきで支援することはありません。
商品、市場、競合、社内体制を確認し、難しい場合には出店をおすすめしないこともあります。
逆に勝ち筋があるのであれば、商品設計から店舗、広告、CRMまで順番に作っていきます。
食品を楽天市場で販売したいものの、
「今の商品で戦えるのか分からない」
「何から準備すればいいか分からない」
「楽天へ出店するべきか判断できない」
という場合は、まず市場と商品を確認するところから始めてみてください。
ネットショップについて、より詳しく知ってみませんか?
ECのロジックを知れば、「出来るかも」が増えます。
「出来るかも」が実現したら、楽しくなります。
楽しくなると、より店舗運営が「楽」になります。




