「食品ECの平均的な掛け率ってどれくらい?」
「利益を上げるためには、掛け率をどう設定すればいい?」
この記事は、そんな方に向けて書いています。
- 掛け率とは、仕入れ価格が販売価格に対してどのくらいの割合を占めるかを示す指標
- 食品ECの掛け率は平均で10%〜25%。ただし食品カテゴリーによって異なる
- 適正な掛け率を設定し、利益率を最大化
- マーケティング施策の活用が重要
掛け率とは「仕入れ価格の占める割合」

掛け率とは、仕入れ価格が販売価格に対してどのくらいの割合を占めるかを示す指標です。
販売価格を決める際に必要で、掛け率の設定が大きく利益を左右します。
掛け率の計算方法:仕入れ価格 ÷ 販売価格 × 100(%)
掛け率の計算は「どれくらいで商品を売りたいか」から逆算すると分かりやすくなります。
掛け率の計算式は以下のとおりです。
掛け率 = 仕入れ価格 ÷ 販売価格 × 100(%)
例えば次の価格設定である場合、
- 仕入れ価格:500円
- 販売価格:1,000円
計算式は以下となります。
500円 ÷ 1,000円 × 100(%)= 掛け率 50%
この場合、販売価格の半分500円が仕入れコストであり、残りの半分500円が利益ということになります。
また計算が苦手な人は、自動で掛け率を計算してくれるサイトを使うのも手です。
ここからは「掛け率計算サイト」の使い方をご紹介します。手順は大きく2ステップです。
- 卸値と定価を入力
- 計算ボタンを押す
使用するのは「掛け率を割り出す計算」の箇所です。

まずは卸値(仕入れ価格)と定価(希望する販売価格)を入力します。

その後、計算ボタンをクリックします。

そうすると掛け率だけでなく、利益額や利益率までカンタンに算出してくれます。

一般的に掛け率が低いほど利益率が高くなりますが、極端に低い掛け率を設定すると仕入れ先の利益が減り、関係が悪化する可能性があるため注意が必要です。
掛け率と利益率の違いは「仕入れ基準」か「売上基準」か

掛け率と利益率は混同されがちですが、どちらも「利益」を考えるための重要な指標 です。
ただし、それぞれの意味や使いどころが異なります。
掛け率
仕入れ価格が販売価格の何%かを考えるときに使う指標で、例えば仕入れ値が500円の場合は以下のようなイメージです。
- 販売価格 1,000円 → 掛け率 50%
- 販売価格 2,000円 → 掛け率 25%
利益率
売上に対してどれくらいの利益が出たかを知る指標で、例えば仕入れ値が500円の場合は以下のようなイメージです。
- 1,000円で販売 → 利益率 50%
- 2,000円で販売 → 利益率 75%
掛け率の価格設定に必要な3要素

適正な価格設定をするには、コスト・市場価格・利益目標の3つの要素をしっかり考えることが重要です。
それぞれのポイントを押さえていきましょう。
コスト
販売価格を決める時には、仕入れ価格だけでなく運営コストも考慮しましょう。
以下はコストの一例です。
- 仕入れ価格:仕入れ先から商品を購入する際の価格
- 送料:仕入れ時の送料+お客様への配送費
- 保管費用:倉庫の利用料、冷蔵・冷凍管理のコスト
- マーケティング費用:広告、プロモーション、ECサイト運営費
- 決済手数料:クレジットカード手数料やECプラットフォームの販売手数料
例えば、ECコンサルの支援を受けながらWebプロモーションに注力している場合のコストイメージは以下の通りです。
- 仕入れ価格:500円/個
- 送料:300円/個
- 倉庫の利用料:100円/個
- Web広告費:2,000円/個 ※獲得単価(CPA)
- 決済手数料:200円/個
商品を1個販売するにあたり最低でも3,100円のコストがかかるということになります。
市場価格
競合の販売価格を調査することで、価格競争に負けないように掛け率を調整することができます。
Amazon・楽天といったECサイトや、スーパーなどの実店舗で、商品の販売価格や割引の有無などを確認しておきましょう。
先ほどの例で言えば、LPに使っている同じような検索ワードで検索してみて、そこに出てくるリスティング等の健康食品の価格を参考にすればOKです。
例えば、Amazonの調査では次のようなツールがあります。
- Keepa:Amazon商品の価格変動や売れ筋ランキングを追跡できるツール。
- Seller Sprite:Amazonでのキーワードリサーチや競合商品の分析、SEO対策を支援するツール。
- HOW MUCH:AmazonのFBA料金や利益計算を簡単に行えるツール。
特にKeepaは手軽で、Chromeアドオンを入れるだけでAmazonの商品詳細ページに価格変動のグラフが表示され、無料で調査できるのでオススメです。

利益目標
適正な掛け率を設定するために、利益目標を設定することがとても重要です。
例えば、食品だけでもカテゴリー毎に利益率は大きく異なります。
カテゴリー | 平均利益率 |
---|---|
生鮮食品 | 10%〜15% |
加工食品 | 20%〜30% |
健康食品 | 25%〜35% |
菓子類 | 30〜40% |
飲料類 | 25〜30% |
商品ジャンル毎の平均利益率も紹介しておきますので、参考にしてみてください。
カテゴリー | 平均利益率 |
---|---|
食品 | 10%〜25% |
アパレル | 15%〜25% |
美容(コスメ・化粧品) | 10%〜20% |
電化製品(家電) | 10%〜20% |
利益最大化のための販売戦略3パターン

掛け率の調整と販売戦略を組み合わせることで、利益を最大化することが可能です。
今回は3つのパターンをご紹介します。
仕入れコストを下げる
仕入れ価格を下げることで利益率を上げる方法です。都度、仕入れ価格の見直しを行いましょう。
- 単価の見直し:長期契約の締結による単価交渉
- 物流の見直し:共同配送や倉庫統合でコスト削減
- まとめ仕入れの活用:一括発注で単価を引き下げる
- 共同購入の実施:他のEC事業者と共同で仕入れて割引
- 在庫管理の強化:余剰在庫を抑えながら大量仕入れを活用
販売価格と利益率のバランスを最適化
割引やセット価格を設定し、より多くの顧客に販売することで利益を上げる方法です。
- 期間限定セール:季節イベント、ブラックフライデー、年末セール
- 初回購入者向けの割引:初回購入限定10%OFF
- 数量限定割引:先着100名限定30%OFF
- 関連商品のセット販売:パスタ+ソース、パン+ジャム
- バンドル価格の設定:10%安くまとめ買い、別々で購入するよりお得
- サブスクリプション:定期購入で送料無料
掛け率とマーケティング施策の組み合わせ
価格ではなく、商品価値を高めることで利益を上げる方法です。
- 高級イメージの確立:パッケージやサイトのデザインを工夫、高級感を演出
- ストーリーの活用 :生産者のこだわりをを紹介
- 口コミやレビューの活用:購入者の評価をサイトやSNSで拡散
- Web広告の活用:SNS広告・検索広告で購買意欲の高い層にアプローチ
- アフィリエイト:インフルエンサーやブロガーと提携し、商品の認知度を拡大
掛け率や販売戦略の成功事例
掛け率や販売戦略に関する成功事例をいくつか挙げておきます。
- 米をギフト用に変更し利益率向上:コンセプトを「贈る米」に変更し、ギフト需要にシフトすることで利益率を大幅に向上。安さで売らない方針により、価格競争に巻き込まれない
- 掛率の高い入口商品を開発しリピーター増:スイーツ店舗で、掛率の高い(ユーザーにとってお得な)入口商品を開発し、リピーターを増やすことで売上のボトムアップに成功
掛け率の適切な設定が重要

今回は食品ECを運営するにあたり、掛け率の重要性や販売戦略についてご紹介しました。
適切な掛け率を設定することで、競争力を高めながら利益を確保することが可能です。市場の動向を把握し、柔軟な価格戦略を実施することが食品ECの成長には不可欠です。
また、
「適切な掛け率について相談したい」
「他企業の掛け率設定を知りたい」
と悩んでいる方は、プロに聞いてみることもオススメです。
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- 掛け率とは、仕入れ価格が販売価格に対してどのくらいの割合を占めるかを示す指標
- 食品ECの掛け率は平均で10%〜25%。ただし食品カテゴリーによって異なる
- 適正な掛け率を設定し、利益率を最大化
- マーケティング施策の活用が重要
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ECのロジックを知れば、「出来るかも」が増えます。
「出来るかも」が実現したら、楽しくなります。
楽しくなると、より店舗運営が「楽」になります。